漢方内科のご案内
漢方は中医学(5~6世紀ごろに中国から伝来した伝統医学)の考え方を基本にしつつも、湿潤な日本の気候や風土、日本人の体質や生活習慣に合わせ、日本独自で発展し、確立されたもので、現代医学でも取り入れられている漢方は、日本の伝統医学と言えるものです。
漢方において重視されるのは、人それぞれの体質です。症状だけでなく、体質をみて診断していくという点が、個々の臓器や組織に原因があるとしてきた西洋医学とは異なっている点です。その際、“ものさし”となるのが「証(しょう)」です。「証」には「虚証と実証」「陰証と陽証」「表証と裏証」「寒証と熱証」「気虚証・瘀血証・水毒証」などさまざまなものがあり、患者さまそれぞれの体質や身体の抵抗力、病気の原因などを様々な角度からみていくものです。
当院では患者さまそれぞれの「証」を見極めた上で、漢方治療を行っていきます。西洋医学では、病名が決まれば治療方法は決まってきますが、漢方では「証」は患者さまごとで異なるため、同じ病気だとしても、漢方薬の処方内容は変わってきます。
また漢方薬は、慢性疾患にもっぱら使用されると思われていますが、実はそれだけではありません。急性期においても重要な役割を果たすことが、いまや救急救命の現場や、災害時の現場において常識になってきています。当院でも新型コロナ感染症治療において、数種の漢方薬と解熱剤の処方で大きな効果を得ることができました。
漢方薬は科学的根拠の蓄積された医薬品として正式に認められており、医療機関で処方されるものの多くは健康保険が適用される「医療用漢方製剤」です。約150処方が承認されており、また日本では漢方薬と西洋薬を一緒に処方することができます。当院では、患者さまそれぞれに対して、西洋医学と東洋医学の最適な組み合わせを探り、治療を行っています。